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山を登る最中、大きな音を耳が拾った。
雪崩。
誰か死者は出てはいないだろうか。
パーティとして山に入った仲間の顔が思い出された。
★カレル...★ジークムント...★ネイ...★ユピテル...
音がした辺りまで、やっとの事で辿り着く。
その間、雪に片足が埋まって抜け出せなくなっただとか、そういった事があったという事は割愛する。
人影があった。
正直、どのタイミングで姿を現しても、驚かれるのはわかりきった話。
彼等は死火山に住まう祖竜、「氷竜」の話をしていたのだから。
とは言え、ここまで来たのだ。素通りするわけにもいくまい。
ちょうどその時、彼等が張ろうとしていたテントがめくれ上がる。
それを掴んで、手助けしたわけだが。話をこっそりという形で聞いてしまっていた上に、口まで出してしまう始末。
そこにいたのはネイと言う者と、見知った顔のジークムント。
そしてカレルと名乗る男だった。
ネイはすぐに去ってしまったのだが、カレルとジークムント、私とで話をする事となる。
カレルは己の命の灯火を半年という長さにする代わりに死んだ恋人を蘇らせてもらったと話した。
そんな技をやってのけたのは砂漠の向こう、デスヴァレーに住まう「赤竜」。
そして死火山へは「氷竜」にその命の長さを戻してもらう為にやってきたと言う。
私が彼ならば、同じ事を思えただろうか。
死ぬのは確かに恐ろしい。
だが、それは誰も知らないからだ。
要するに行ってみなければわからない。ただ、今自分がいる次元に自分が存在出来なくなるのだけは確かではある。
後悔はあるかもしれない。
けれど、遅くとも早くとも。また、冒険の地へと赴くのであれば半年であろうとも、1日であろうとも変わらない。
命は落としたくはないし、落とさぬようにしたいとは思うけれど、わからない。
カレルの事を、生にしがみ付きたい彼を否定するわけではないのだけれど。
だから、私なら抗わず、されど自分がすべき事を考えて、そして一つずつ、悔やまぬように日々を噛み締めながら生きようと思うかもしれない。
……しれない、というのが弱いな。
赤竜は何故すぐに命を奪わず、半年という時間を与えたのだろうか?
会った事はないから、どんな思考の持ち主かわからないのだが……。
命をすぐに奪う事なら楽に出来るのだろう。
だから敢えて時間を与え、もがき苦しむ様を楽しもうとしているのか。
カレルは今も抗っている。
与えられた運命を自分の運命にする為に。
恋人―オーリエンダと言っていた―の為に。生き抜く為に。