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永久と名のついた氷晶と生を諦めた心の氷を溶かしたのは、間違いなく優しき心。
★ユピテル...★ジークムント...★―声―→結晶の男→トルーア
約1ヶ月の行程を経て、永久氷晶の鉱脈へと辿り着いた。
崖から転落しそうになったり、食料を落としてしまい、現地調達したり……。
鉱脈へ降りてくるのも一苦労だった。
何せ大クレバスの底、地表よりかなり下だったから。
鉱脈に着き、ジークムントと合流した。
そこに聞こえる声……。
主は永き時間に渡って氷に体を侵された者だった。
彼は名を語らなかった。
もうここから抜ける事も叶わない、と。その名に、生きる事に鍵をかけてしまっていたのだ。
助けれるものならば助けたい、と私は心底思った。
けれど、諦めた者がこの氷の呪縛に打ち克つ事など出来ない。
だからまず、彼の望む「話」をしてみようと思った。
彼には仲間がいた。
怪我を負った彼を追って、自らも大怪我を負ってしまう優しき馬鹿な仲間が。名をロードメイと言ったそうだ。
己の方が危ういとわかっていながらも、
「大丈夫だ、俺がいる。」 「大丈夫だ。きっと助けてやる。」 「大丈夫だ。すぐ、直してやる。」
そう声をかけながら息を引き取った。
絶対的な信頼。
それがあるからこそ、彼はそこを動かず、待ったのだ。
私はそこにほころびを見つけた。
死した仲間に応えていない彼の心を。
◆ユピテル >> 彼の想いをわかっていながら、君の中にその想いは宿っていないのかね? いや、諦めという鍵をかけているだけではないのかね? 君を想いながら死んでいった彼に無礼と言うものだ
自分自身の名をトルーアと、伝えてくれた彼をジークムントと私は助けようと思った。
互いの気持ちが繋がったこの時しかなかった。
そして、冒険記者トルーア・アヌベットは己の心と氷の呪縛から解き放たれたのだ。
随分と性格も変わってしまったが……。
彼はこれからも私達冒険者の後を追う事なのだろう。
はは。
人は死を前にした時と輝かしい未来をこの手に掴むその時では、態度は違うものだ。(笑)
しかし我ながら、随分間抜けな名前だと今更思う。
間抜けな気配が後ろからしたら、気をつけてくれたまえ、聡明なる冒険者よ。(笑)